2010年09月26日

ハンセン病関連の法律

ハンセン病関連の法律を掲載しておく。同じものをPDFファイルにしておくので,資料として活用していただければ幸いです。


「癩予防ニ関スル件」(明治四十年三月十八日法律第十一号)

 第一条
医師癩患者ヲ診断シタルトキハ患者及家人ニ消毒其ノ他予防方法ヲ指示シ且三日以内ニ行政官庁ニ届出ツヘシ其転帰ノ場合及死体ヲ検案シタルトキ亦同シ

 第二条
癩患者アル家又ハ癩病毒ニ汚染シタル家ニ於テハ医師又ハ当該吏員ノ指示ニ従ヒ消毒其ノ他予防ヲ行フヘシ

 第三条
癩患者ニシテ療養ノ途ヲ有セス且救護者ナキモノハ行政官庁ニ於テ命令ノ定ムル所ニ従ヒ療養所ニ入ラシメ之ヲ救護スヘシ但シ適当卜認ムルトキハ扶養義務者ヲシテ患者ヲ引取ラシムヘシ
必要ノ場合ニ於テハ行政官庁ハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ前項患者ノ同伴者又ハ同居者二対シテ一時相当ノ救護ヲ為スヘシ
前二項ノ場合ニ於テ行政官庁ハ必要卜認ムルトキハ市町村長(市制町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ市町村長ニ準スヘキ者)ヲシテ癩患者及其ノ同伴者又ハ同居者ヲ一時救護スルコトヲ得

 第四条
主務大臣ハ二以上ノ道府県ヲ指定シ共ノ道府県内ニ於ケル前条ノ患者ヲ収容スル為必要ナル療養所ノ設置ヲ命スルコトヲ得
前項療養所ノ設置及管理二関シ必要ナル事項ハ主務大臣之ヲ定ム
主務大臣ハ私立ノ療養所ヲ以テ第一項ノ療養所ニ代用セシムルコトヲ得

 第五条
救護ニ要スル費用ハ被救護者ノ典拠トシ被救護者ヨリ弁償ヲ得サルトキハ其ノ扶養義務者ノ負担トス
第三条ノ場合ニ於テ之力為要スル費用ノ支弁方法及其ノ追徴方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

 第六条
扶養義務者ニ対スル患者引取ノ命令及費用弁償ノ請求ハ扶養義務者中ノ何人ニ対シテモ之ヲ為スコトヲ得但シ費用ノ弁償ヲ為シタル者ハ民法第九百五十五条及第九百五十六条二依り扶養ノ義務ヲ履行スヘキ者ニ対シ求償ヲ為スコトヲ妨ケス

 第七条
左ノ請費ハ北海道地方費又ハ府県ノ負担トス但シ沖縄県及東京府下伊豆七島小笠原島ニ於テハ国庫ノ負担トス
 一 被救護者又ハ共ノ扶養義務者ヨリ弁償ヲ得サル救護者
 二 検診ニ関スル諸費
 三 其他道府県二於テ癩予防上施設スル事項ニ関スル諸費
第四条第一項ノ場合ニ於テ其ノ費用ノ分担方法ハ関係地方長官ノ協議二依り之ヲ定ム
若シ協議調ハサルトキハ主務大臣ノ定ムル所二依ル
第四条第三項ノ場合ニ於テ関係道府県ハ私立ノ療養所ニ対シ必要ナル補助ヲ為スヘシ
此ノ場合ニ於テ共ノ費用ノ分担方法ハ前碩ノ例二依ル

 第八条
国庫ハ前条道府県ノ支出ニ対シ勅令ノ定ムル処ニ従ヒ六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助スルモノトスル

 第九条
行政官庁二於テ必要卜認ムルトキハ其ノ指定シタル医師ヲシテ癩又ハ其ノ疑ヒアル患者ノ検診ヲ行ハシムルコトヲ得
癩卜診断セラレタル者又ハ其ノ扶養義務者ハ行政官庁ノ指定シタル医師ノ検診ヲ求ムルコトヲ得
行政官庁ノ指定シタル医師ノ検診ニ不服アル患者又ハ其ノ扶養義務者ハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ更ニ検診ヲ求ムルコトヲ得

 第十条
医師第一条ノ届出ヲ為サス又ハ虚偽ノ届出ヲ為シタル者ハ五拾円以下ノ罰金ニ処ス

 第十一条
第二条ニ違反シタル者ハ弐拾円以下ノ罰金ニ処ス

 第十二条
行旅死亡人ノ取扱ヲ受クル者ヲ除クノ外行政官庁二於テ救護中死亡シタル癩患者ノ死体又ハ邉留物件ノ取扱ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム


癩予防法(昭和六年四月二日法律第五八号) 昭和六年改正

 第二条ノ二
行政官庁ハ癩予防法上必要ト認ムルトキハ左ノ事項ヲ行フコトヲ得
一 癩患者ニ対シ業務上病毒伝播ノ虞アル職業ニ従事スルヲ禁止スルコト
二 古着,古蒲団,古本,紙屑,襤褸,飲食物其ノ他ノ物件ニシテ病毒ニ汚染シ又ハ其ノ疑アルモノノ売買若ハ授受ヲ制限シ若ハ禁止シ,其ノ物件ノ消毒若ハ廃棄ヲ為サシメ又ハ其ノ物件ノ消毒若ハ廃棄ヲ為スコト

 第三条
行政官庁ハ癩予防法上必要ト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ癩患者ニシテ病毒伝播ノ虞アルモノヲ国立癩療養所又ハ第四条ノ規定ニ依リ設置スル療養所ニ入所セシムベシ必要ノ場合ニ於テハ行政官庁ハ命令ノ定ムル所に従ヒ前項患者ノ同伴者又ハ同居者ニ対シテモ一時相当ノ救護ヲ為スベシ
第二項ノ場合ニ於テ行政官庁ハ必要ト認ムルトキハ市町村長又ハ之ニ準ズベキ者ヲシテ癩患者及其ノ同伴者又ハ同居者ヲ一時救護セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ市町村長又ハ之ニ準ズベキ者ニ於テ一時救護ヲ為ス場合ニ要スル費用ハ必要アルトキハ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ繰替支弁スベシ

 第四条第三項ヲ削ル

 第四条ノ二中
「被救護者」ヲ「入所患者」ニ改ム

 第五条
私立ノ癩療養所ノ設置及管理ニ関シ必要ナル事項ハ主務大臣之ヲ定ム

 第六条
北海道又ハ府県ハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ第二条ノ二第一号ノ規定ニ依リ従業禁止又ハ
第三条第一項ノ規定ニ依ル入所ニ因り生活スルコト能ハザル者ニ対シ其ノ生活費ヲ補給スベシ

 第七条
第一項ヲ左ノ如ク改メ同条第二項ヲ削ル
左ノ諸費ハ北海道地方費又ハ府県ノ負担トス
一 第二条ノ二第二号ノ規定ニ依リ行政官庁ニ於テ物件ノ消毒又ハ廃棄ヲ為ス場合ニ要スル諸費
二 入所患者(国立癩療養所入所患者ヲ除ク)及一時救護ニ関スル諸費
三 検診ニ関スル諸費
四 其ノ他道府県ニ於テ癩予防上施設スル事項ニ関スル諸費

 第七条ノ二
 本法ニ依リ北海道地方費又ハ府県ニ於テ負担スベキ費用ハ東京府伊豆七島及小笠原島ニ於テハ国庫ノ負担トスル

 第八条中
「前条」ヲ「第六条及第七条ノ規定ニ依ル」ニ改ム

 第九条中
「扶養義務者」ヲ「親族」ニ改ム

 第一〇条
第一条ノ規定ニ違反シ又ハ第二条ノ二ノ規定ニ依ル行政官庁ノ処分ニ違反シタル者ハ100円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス

 第一〇条ノ二
第二条ノ規定ニ違反シタル者ハ科料ニ処ス

 第一一条
医師若ハ医師タリシ者又ハ癩予防事務ニ関係アル公務員若ハ公務員タリシ者故ナク業務上取扱ヒタル癩患者又ハ其ノ死者ニ関シ氏名,住所,本籍,血統関係又ハ病名其ノ他癩タルコトヲ推知シ得ベキ事項ヲ漏泄シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ100円以下ノ罰金ニ処ス

 第一二条中
「行政官庁ニ於テ救護中」ヲ「療養所ニ入所中又ハ第三条第二項及第三項ノ規定ニ依ル一時救護中」ニ改ム

   付  則

本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム(昭和六年勅令第一八〇号により昭和六年八月一日から施行)


国立癩療養所患者懲戒検束規定(昭和6年1月30日認可)

第一条 国立癩療養所ノ入所患者ニ対スル懲戒又ハ検束ハ左ノ各号ニ依ル

一 譴責 叱責ヲ加ヘ誠意改悛ヲ誓ハシム
二 謹慎 三十日以内指定ノ室ニ静居セシメ一般患者トノ交通ヲ禁ズ
三 減食 七日以内主食及副食物ニ付常食量ニ分ノー迄ヲ減給ス
四 監禁 三十日以内監禁室ニ拘置ス
五 謹慎及減食 第二号及第三号ヲ併科ス
六 監禁及減食 第四号及第三号ヲ併科ス
監禁ハ前項第四号ノ規定ニ拘ラズ特ニ必要卜認ムルトキハ其ノ期間ヲ二箇月迄延長スルコトヲ得

第二条 入所患者左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ譴責又ハ謹慎二処ス

一 所内ニ植栽セル草木ヲ傷害シタルトキ
二 家屋其ノ他建物又ハ備品ヲ毀損シ若ハ汚涜シタルトキ
三 貸与ノ衣類共ノ他ノ物品ヲ毀損若ハ隠匿シ又ハ所外へ搬出シタルトキ
四 人ヲ誑惑セシムベキ流言浮説又ハ虚報ヲ為シタルトキ
五 喧嘩口論ヲ為シタルトキ
六 其ノ他所内ノ静謐ヲ紊シタルトキ

第三条 入所患者左ノ各号ノ一ヲ為シタルトキハ謹慎若ハ減食ニ処シ又ハ之ヲ併科ス

一 濫リニ所外ニ出デ又ハ所定ノ地域ニ立入リタルトキ
二 風紀ヲ紊シ又ハ猥褻ノ行為ヲ為シ若ハ媒合シテ之ヲ為サシメタルトキ
三 職員ノ指揮命令ニ服従セザルトキ
四 金銭又ハ物品ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲ為シタルトキ
五 懲戒又ハ検束ノ執行ヲ妨害シタルトキ

第四条 入所患者左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ減食若ハ監禁ニ処シ又ハ之ヲ併料ス

一 逃走シ又ハ逃走セムトシタルトキ
二 職員其ノ他ノ者ニ対シ暴行若ハ脅迫ヲ加へ又ハ加ヘムトシタルトキ
三 其ノ他所内ノ安寧秩序ヲ害シ又ハ害セムトシタルトキ

第五条 一個ノ行為ニシテ前三条中二以上ノ規定ニ該当スルトキハ情状ニ依り共ノ何レカ一ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコトヲ得

第六条 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ノ免除アリタル後再ビ第二条又ハ第三条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ第二条又ハ第三条ノ規定ニ拘ラズ第四条ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコトヲ得

第七条 二人以上共同シテ第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者ハ共ノ行為ニ付同一ノ責ニ任ズ
人ヲ教唆シテ第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為サシメタル者ハ実行者ニ準ズ教唆者ヲ教唆シタル者亦同ジ第二条第三条又ハ第四条ノ規定二該当スル行為ノ実行者ノ行為ヲ幇助シタル者及之ニ対シ教唆ヲ為シタル者ハ実行者ニ準ズ但シ其ノ処分ハ之ヲ減軽ス

第八条 第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ拘ラズ行為ノ情状憫諒スベキモノハ酌量シテ懲戒又ハ検束ヲ減軽又ハ免除スルコトヲ得

第九条 懲戒又ハ検束ハ宣告ノ上執行ス

第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者逃走シタルトキハ其ノ懲破又ハ検束ハ欠席ノ儘宣告シ其ノ執行ハ収容後之ヲ行フ
但シ他ノ療養所ニ収容セラレタルトキハ之ヲ当該療養所ノ長ニ委託スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ宣告ヨリ一年ヲ経タルトキハ其ノ執行ヲ免除ス懲戒又ハ検束ノ執行中逃走シタル者ニ対シテハ前二項ノ規定ヲ準用ス

第十条 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者改俊ノ情著シキトキハ其ノ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ免除スルコトヲ得

第十一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ハ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ免除又ハ停止スルコトヲ得

一 大祭祝日,一月一日,一月二日,十二月三十一日又療養所ノ祝祭日並懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者ノ父母ノ祭日
二 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者共ノ父母ノ訃ニ接シタルトキ
三 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者療養上必要アリト認メタルトキ
前項第二号ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間ハ之ヲ三日マデ延長スルコトヲ得


らい予防法法律第214号(昭和28年8月15日施行)

第一章 総則

  (この法律の目的)

第一条 この法律は,らいを予防するとともに,らい患者の医療を行い,あわせてその福祉を図り,もって公共の福祉増進を図ることを目的とする。

  (国及び地方公共流体の義務)

第二条 国及び地方公共団体は,つねに,らいの予防及びらい患者(以下「患者」という)の医療につとめ,患者の福祉を図るとともに,らいに関する正しい知識の普及を図らなければならない。

  (差別的取扱の禁止)

第三条 何人も,患者又は患者と親族関係にある者に対して,そのゆえをもって不当な差別的取扱をしてはならない。

第二章 予防

  (医師の届出等)

第四条 医師は,診断の結果受診者が患者(患者の疑いのある者を含む。この条において以下同じ)であると判断し,又は死亡の診断若しくは死体の検案をした場合において死亡者が患者であったことを知ったときは厚生省令の定めるところにより,患者,その保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同し)若しくは患者と同居している者又は死体のある場所若しくはあった場所を管理する者若しくはその代理をする者に,消毒その他の予防法を指示し,且つ,七日以内に,厚生省令で定める事項を,患者の居住地(居住地がないか,又は明らかでないときは,現在地。以下同じ)又は死体のある場所の都道府県知事に届け出なければならない。
A 医師は,患者が治癒し,又は死亡したときは,すみやかに,その旨をその者の居住地の都道府県知事に届け出なければならない。

  (指定医の診察)

第五条 都道府県知事は,必要があると認めるときは,その指定する医師をして,患者又は患者と疑うに足りる相当な理由があるものを診察させることができる。
A 前項の医師の指定は,らいの診療に関し,三年以上の経験を有する者のうちから,その同意を得て行うものとする。
B 第一項の医師は,同項の職務の執行に関しては,法令により公務に従事する職員とみなす。

  (国立療養所への入所)

第六条 都道府県知事は,らいを伝染させるおそれがある患者について,らい予防上必要があると認めるときは,当該患者又はその保護者に対し,国が設置するらい療養所(以下「国立療養所」という)に入所し,又は入所させるように勧奨することができる。
A 都道府県知事は,前項の勧奨を受けたものがその勧奨に応じないときは,患者又はその保護者に村し期限を定めて,国立寮養所に入所し,又は入所きせることを命ずることができる。
B 都道府県知事は,前項の命令を受けた者がその命令に従わないとき,又は公衆衛生上らい療養所に入所きせることが必要であると認める患者について,第二項の手続をとるいとまかないときは,その患者を国立療養所に入所きせることができる。
C 第一項の勧奨は,前条の規定する医師が当該患者を診察した結果,その者がらいを伝染させるおそれがあると診断した場合でなければ,行うことができない。

  (従業禁止)

第七条 都道府県知事は,らいを伝染させるおそれがある患者に対して,その者がらい療養所に入所するまでの間,接客業その他公衆にらいを伝染きせるおそれがある業務であって,厚生省令で定めるものに従事することを禁止することができる。
A 前条第四項の規定は,前項の従業禁止の処分について準用する。

  (汚染場所の消毒)

第八条 都道府県知事は,らいを伝染きせるおそれがある患者又はその死体があった場所を管理する者又はその代理をする者に対して,消毒材料を交付してその場所を消毒すべきことを命ずることができる。
A 都道府県知事は,前項の命令を受けた者がその命令に従わないときは,当該職員にその場所を消毒させることができる。

  (物件の消毒廃棄等)

第九条 都道府県知事は,らい予防上必要があると認めるときは,らいを伝染させるおそれがある患者が使用し,又は接触した物件について,その所持者に対し,授与を制限し若しくは禁止し,消毒材料を交付して消毒を命じ,又は消毒によりがたい場合に廃棄を命ずることができる。
A 都道府県知事は,前項の消毒又は廃棄の命令を受けた者がその命令に従わないときは,当該職員に,その物件を消毒し,又は廃棄させることができる。
B 都道府県は,前二項の規定による廃葉によって通常生ずべき損失を補償しなければならない。
C 前項の規定による補償を受けようとする者は,厚生省令の定める手続に従い,都道府県知事に,これを請求しなければならない.
D 都道府県知事は,前項の規定による請求を受けたときは,補償すべき金額を決定し,当該請求者にこれを通知しなければならない。
E 前項の決定に不服がある者は,その通知を受けた日から六十日以内に,裁判所に訴をもってその金額の増額を請求することができる。

  (質問及び調査)

第十条 都道府県知事は,前二条の規定を実施するため必要があるときは,当該職員をして,患者若しくはその死体がある場所若しくはあった場所又は患者が使用し,若しくは接地した物がある場所に立ち入り,患者その他の関係者に質問させ,又は必要な調査をさせることができる。
A 前項の職員は,その身分を示す証票を携帯し,且つ,関係者の靖求があるときは,これを呈示しなければならない。
B 第一項の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

  第三章 国立療養所

  (国立療養所)

第十一条 国は,らい療養所を設置し,患者に村し,必要な療養を行う。

  (福利増進)

第十二条 国は,国立療養所に入所している患者(以下「入所患者」という)の教養を高め,その福利を増進するようつとめるものとする。

  (厚生指導)

第十三条 国は,必要があると認めるときは,入所者に対して,その社会的更生に資するために必要な知識及び技能を与えるための措置を講ずることができる。

  (入所患者の教育)

第十四条 国立療養所の長(以下「所長」という)は,学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第七十五条第二項の規定により,小学校又は中学校が,入所患者のため,教員を流通して教育を行う場合には,政令の定めるところにより,入所患者がその教育を受けるために必要な措置を講しなければならない。
A 所長は,学校教育法第七十五条第二項の規定により,高等学校が,入所患者のため,教員を派遣して教育を行う場合には,政令の定めるところにより,入所患者がその教育を受けるために,必要な措置を講ずることができる。

  (外出の制限)

第十五条 入所患者は,左の各号に掲げる場合を除いては,国立療養所から外出してはならない。

一,親族の危篤,死亡,り災その他特別の事情がある場合であって,所長が,らい予防上重大な支障を釆たすおそれがないと認めて許可したとき。
二,法令により国立療養所外に出頭を要する場合であって,所長がらい予防上重大な支障を来たすおそれがないと認めたとき。
A 所長は前項第一号の許可をする場合には,外出の期間を定めなければならない.
B 所長は,第一項各号に掲げる場合には,入所患者の外出につき,らい予防上必要な措置を講じ,且つ,当該患者から求められたときは,厚生省令で定める証明書を交付しなければならない。

  (秩序の維持)

第十六条 入所患者は,療養に専念し,所内の紀律に従わなければならない.
A 所長は,入所患者が紀律に違反した場合において,所内の秩序を維持するために必要があると認めるときは,当該患者に村して,左の各号に掲げる処分を行うことができる。
一,戒告を与えること。
二,三十日をこえない期間を定めて,謹慎させること。
B 前項第二号の処分を受けた者は,その処分の期間中,所長が指定した室で静居しなければならない。
C 第二項第二号の処分は,同項第一号の処分によっては,効果がないと認められる場合に限って行うものとする。
D 所長は,第二項第二号の処分を行う場合には,あらかじめ,当該患者に対して,弁明の機会を与えなければならない。

  (親権の行使等)

第十七条 所長は,未成年の入所患者で親権を行う者又は後見人のないものに対し,親権を行う者又は後見人があるに至るまでの間,親権を行う。
A 所長は,未成年の入所患者で親権を行う者又は後見人のあるものについても,監護,教育等その者の福祉のために必要な措置をとることができる。

  (物件の移動の制限)

第十八条 入所患者が国立寮養所の区域内において使用し,又は接触した物件は,滑車を経た後でなければ,当該国立療養所の区域外に出してはならない。

第四章 福祉

  (一時救護)

第十九条 都道府県知事は,居住地を有しない患者その他救護を必要とする患者及びその同伴者に村して,当該患者が国立療養所に入所するまでの間,必要な救護を行わなければならない。

  (一時救護所)

第二十条 都道府県は,前条の措置をとるため必要があると認めるときは,一時救護所を設置することができる。

  (親族の援護)

第二十一条 都道府県知事は,入所患者をして安んじて療養に専念させるため,その親族(婚姻の届出をしてないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ)のうち当該患者が入所しなかったならば,主としてその者の収入によって生計を維持し,又はその者と生計をともにしていると認められる者で,当該都道府県区域内に居住地(居住地がないか,又は明らかでないときは,現在地)を有するものが,生計困難のため援護を要する状態にあると認めるときは,これらの者に村し,この法律の定めるところにより,援護を行うことができる。但し,これらの者が他の法律(生活保護法「昭和二十五年法律第百四十四号」を除く)に定める扶助を受けることができる場合においては,その受けることができる扶助の限度においては,その法律の定めるところによる。
A 援護は,金銘を給付することによって行うもの亡する。但し,これによることができないとき,これによることが適当でないとき,その他援護の目的を達するために,必要があるときは,現物を給付することによって行うことができる。
B 援護のための金品は,援護を受ける者又はその者が属する世帯の世帯主若しくはこれに準ずる者に交付するものとする。
C 援護の種類,範囲,程度その他援護に関し必要な事項は,政令で定める。

  (児童の福祉)

第二十二条 団は,入所患者が扶養しなければならない児童で,らいにかかっていないものに村して,必要があると認めるときは,国立療養所に附置する施設において教育,養護その他の福祉の措置を講ずることができる。
A 第十七条第一項の規定は,前項の施設に入所中の児童について準用する.

第五章 費用

  (都道府県の支弁)

第二十三条 都道府県は,左の各号に掲げる費用を支弁しなければならない。
一,第五条第一項の規定による静察に要する費用
二,第六条の規定による措置に要する費用並びに同条第一項又は第二項の挽定による勧奨又は命令による患者の入所に要する費用及びその入所に当り当該都道府県の職員が附き添った場合におけるその附添に要する費用
三,第八条及び第九条の規定による消毒及び廃棄に要する費用
四,第九条第三項の規定による損失の補償に要する費用
五,第十九条の規定による一時救護に要する費用
六,第二十条に規定する一時救護所の設置及び運営に要する費用
七,第二十一条の規定による援護に要する費用

  (費用の徴集)

第二十三条の二 都道府県知事は,第二十一条の規定による援護を行う場合において,その援護を受けた者に村して,民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定により扶養の義務を履行しなければならない者(入所患者を除く)があるときは,その義務の範囲内において,その者からその援護の実施に要した費用の全部又は一部を徴集することができる。
A 生活保護法第七十七条第二項及び第三項の規定は,前項の場合に準用する。

  (国庫の負担)

第二十四条 国は,政令の定めるところにより,都道府県が支弁する費用のうち,第二十三条第一号から第六号までに掲げる費用については,その二分の一,同条第七号に掲げる費用については,その全部を負担する。

  第六章 雑則

  (訴願)

第二十五条 この法律又はこの法律に基いて発する命令の泉定により所長又は都道府県知事がした処分(第九条第五項の規定による補償金額の決定処分を除く)に不服がある者は厚生大臣に訴願することができる。
A 厚生大臣は,前項の訴願がらいを伝染させるおそれがある患者であるとの静断に基く処分に対してその診断を受けた者が提起したものであって,且つ,その不服の理由が,その診断の結果を争うものであるときは,その訴願の裁決前,第五条      第二項の規定に準して厚生大臣が指定する二人以上の医師をして,その者を診断させなければならない。その場合において,訴願人は,自己の指定する医師を,自己の費用により,その珍察に立ち合わせることができる。
B 第五条第三項の規定は,前項の医師について準用する。

  (公課及び差押の禁止)

第二十五条の二 第二十一条の規定による援護として,金品の支給を受けた者は,当該金品を標準として租税その他の公課を課せられることがない。
A 第二十一条の規定による援護として支給される金品は,すでに支給を受けたものであるとないとにかかわらず差押えることができない。

  (罰則)

第二十六条 医師,保健婦,看護婦若しくは准看護婦又はこれらの暇にあった者が,正当な理由がなく,その業務上知得した左の各号に掲げる他人の秘密を漏らしたときは,一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一,患者若しくはその親族であること,又はあったこと。
二,患者であった者の親族であること,又はあったこと。
A 前項各号に掲げる他人の秘密を業務上知得した者が,正当な理由がなく,その秘密を漏らしたときは,六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

第二十七条 左の各号の一に該当する者は,一万円以下の罰金に処する。
一,第四条第一項の規定による届出を怠った者
二,第五条第一項の規定による医師の診断を拒み,妨げ,又は忌避した者
三,第九条第一項の規定による物件の授与の制限又は禁止の処分に従わなかった者
四,第八条第二項又は第九条第二項の規定による当該職員の職務の執行を拒み,妨げ,又は忌避した者
五,第十条第一項の規定による当該職月の調査を拒み,妨げ,又は急逝した者
六,第十条第一項の規定による当該職員の質問に対して虚偽の答弁をした者
七,第十八条の規定に違反した者

第二十八条 左の各号の一に該当する者は,拘留又は科料に処する。
一,第十五条第一項の挽定に違反して国立療養所から外出した者
二,第十五条第一項第一号の規定により国立療養所から外出して,正当な理由がなく許可の期間内に帰所しなかった者
三,第十五条第一項第一号の規定により国立療養所から外出して,正当な理由がなく,通常帰所すべき時間内に帰所しなかった者。


らい予防法の廃止に関する法律案に対する附帯決議 

(平成8年3月26日 参議院厚生委員会)

ハンセン病は発病力が弱く,又発病しても,適切な治療により,治癒する病気となっているのにもかかわらず,「らい予防法」の見直しが遅れ,放置されてきたこと等により,長年にわたりハンセン病患者・家族の方々の尊厳を傷つけ,多くの痛みと苦しみを与えてきたことについて,本案の議決に際し,深く邉憾の意を表するところである。

政府は,本法施行に当たり,深い反省と陳謝の念に立って,次の事項について,特段の配慮をもって適切な措置を講ずるべきである。

一,ハンセン病療養所入所者の高齢化,後遺障害等の実態を踏まえ,療養生活の安定を図るため,入所者に支給されている患者給与金を将来にわたり継続していくとともに,入所者に対するその他の医療・福祉等処遇の確保についても万全を期すこと。

一,ハンセン病療養所から退所することを希望する者については,社会復帰が円滑に行われ,今後の社会生活に不安がないよう,その支援策の充実を図ること。

三,通院・在宅治療のための医療体制を早急に整備するとともに,診断・治療指針の作成等ハンセン病治療に関する専門知識の普及を図ること。

四,一般市民に対して,また学校教育の中でハンセン病に関する正しい知識の普及啓発に努め,ハンセン病に村する差別や偏見の解消について,さらに一層の努力をすること。

 右決議する。

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